ブロックチェーンとは?/WEB3.0の世界

相場が悪すぎて暇なので、今さらながら基礎の勉強です。「ブロックチェーン」について整理し、さらに最近話題のWEB3.0の世界についても、記載します。

 

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンの定義

ブロックチェーンは、定義にもよりますが、本稿では「第3者機関が不在で改ざんが事実上不可能な、オンライン上の共有台帳」の事、とします。

 

ビットコインのブロックチェーンの場合、創世記*からやり取りされてきた、すべての取引記録が記されています。そして、これから先も取引の記録が続いていきます。

*関連記事:最初のブロックを覗いてみよう

 

ブロックチェーンは改ざんが事実上不可能

改ざんが事実上不可能、とはどういうことなのか。その仕組みを詳しくみてみます。

 

ブロックチェーン技術では、下記の仕組みで、台帳に記録されている内容が正しいことを検証しています。

1.ビットコインのネットワークを構成している世界中のコンピュータ(ノードといいます)に、同じ台帳のコピーを保存しておく。(分散性)

2.新しい送金が発生すると、その取引記録がネットワークに送られ、*マイニング競争に勝利したマイナーが新しいブロックを作成し、ブロックチェーンに繋ぐ(承認)

3.上記のマイナーから新規のブロックがネットワークに伝播され、他のノードによるチェックを受ける。問題なければブロックが正当なものとして、チェーン内に取り込まれる(検証)

 

チェーンが分岐した場合は、「一番長いチェーンを正統とする」というルールがあるため、それ以外のチェーンは破棄されます。

*取引記録の承認には、膨大な量の計算を行う必要があります。PCの計算能力を割いて検証・承認作業を行うことを「マイニング」と呼びます。

 

ビットコインのブロックチェーンは、最初に稼働が始まった2009年1月3日から現在に至るまで、取引が記録されるたびにこのステップを繰り返してきました。尚、この約9年の間に、ブロックチェーンが改ざんされたことはありません。例えば力を持ったマイナーが、ネットワークの攻撃を実施することは原理的に可能ですが、自身が持つビットコインの価値が下がる(誰も信頼しなくなる)ため、その攻撃を実施するインセンティブがありません。

 

このような、記録内容の正しさを検証するシステムそのものが、ブロックチェーンの正しさ、ひいてはビットコインの価値を支えています。みんなが信頼しているという事ですね。

 

全世界に公開

ブロックチェーンの記録は、世界中の誰でも、どこからでも閲覧可能な状態で公開されています。

 

chainFlyer:https://chainflyer.bitflyer.jp/

 

 

こちらはビットコインのエクスプローラーの1つであるchainFlyerの写真です。送金アドレスをたどれば、いつ、いくら分のビットコインが、どのアドレスからどのアドレスに送金されたかについて、すべて閲覧・追跡することができます。しかし、アドレスと個人を紐づけることは現実的に不可能なため、匿名性はある程度は保たれます。

 

管理者不在の分散台帳:トラストレス

ブロックチェーンは、管理者不在でその信頼性が保たれるという大きな特徴があります。

管理者が不在であるということは、言い換えると、ビットコインのような通貨の発行や流通について管理責任を負っている第三者が存在しない、ということです。

 

また、ブロックチェーンの正しさは、各ノードによって続けられる検証作業によって保証されているため、例えば銀行や政府のような、特定の第三者や権威による信頼の裏付けを必要としません。

参考記事:ビットコインの価値から考える、現代生活の「今そこにある危機」

 

この「第三者の信頼の裏付けを必要としない性質」のことを、「トラストレス」といいます。

 

ブロックチェーンは、①分散して保存されていること、②各ノードによる検証作業が行われ続けることで、トラストレスという性質を獲得しています。

 

ネットワーク参加者を限定したブロックチェーン

ブロックチェーンの優れた改ざん耐性は、悪意を持った人から取引の価値を守るだけでなく、記録した内容が正しい状態で保存され続けることを事実上保証します。

これを応用することで、例えば、個人を識別するID発行、出産・結婚の証明、土地の登記といった、行政による公証サービスへの利用が期待されます。また、一般企業においては、社内のデータ管理や業務内容の記録、いつ誰がどんな決済を行ったかなど、取引事実を保存するのに活用出来るとも言われています。(ただし、本当にその『課題』に対してブロックチェーンが最適なのか、という視点は必要です)

 

これら、行政や企業の内部においてブロックチェーン技術を活用する際には、ビットコインのブロックチェーンのように、記録内容がすべての人に閲覧可能であると都合がよくありません。また、社内の決済記録の正しさを検証するのに、まったく別の国の全く関係のない第三者が検証・承認を行うというのは不必要な話です。このようなケースでは、ブロックチェーンのネットワークの範囲を、活用する特定の団体の内部に限定して稼働させるのが自然です。

このように、特定のプライベートな範囲において稼働させるブロックチェーンのことを、「プライベートチェーン」と呼んだりします。(これに対して、前述の世界中にオープンなブロックチェーンのことを「パブリックチェーン」と呼び分けることがあります)

また、複数の企業集団や団体を一まとめにしてブロックチェーンを稼働させるほうが、利便性が高いケースもあります。(複数企業が参加する業界団体や協議会など)

このような範囲で稼働させるブロックチェーンのことを、「コンソーシアムチェーン」と呼び分けることもあります。

プライベートチェーンもコンソーシアムチェーンも、特定の範囲にネットワーク参加者を限定している点で、その質は同じです。この場合、記録内容の検証や承認を行うノードを社内や団体内に限定したり、特定の管理者をおいて検証・承認を一任したりするなど、パブリックチェーンと比べるとやや特殊なルールで運用されることになります。

尚、特定の管理者を置く場合、そのプライベートチェーンはトラストレスではなくなります。

 

ブロックチェーン誕生の歴史

現在使われているブロックチェーン技術のはじまりは、1990年に発表された暗号学の論文*まで遡ると言われています。

*Stuart HaberとW. Scott Stornettによる”How to Time-stamp a digital document”という論文

 

この論文内では、特定のデータの暗号化によって得られた文字列(ハッシュ値)を、別のデータから得られた暗号化文字列と合体させて新しいハッシュ値を作ることで、データの前後関係を証明する方法論が記されています。複数データのハッシュ値を鎖のように連続させていくようなイメージは、まるで現在のブロックチェーンのようです。

 

実は、この論文で示された技術については、すでに2004年の段階で、標準化(ISO/IEC 18014-3)されており、ハッシュ値を連鎖させるタイムスタンプを付与する、という形式で、データの証明や公証に用いられてきました。

一方、この段階では、現在のブロックチェーンで語られる「分散性」についてはクローズアップされておらず、複数のサーバーにコピーを保管していざというときに備える、という程度の意味合いでしか考えられていなかったようです(いわゆる簡素なプライベートチェーンのような形式)。

 

現在のブロックチェーンのスタイルが明確にその姿を現したのは、「サトシ・ナカモト」のビットコインの原論文においてでした。この画期的で革新的なシステムは、史上最初の暗号通貨”ビットコイン”の誕生とともに生まれ、2009年1月3日に最初のブロック(ジェネシスブロック)が生成されて以降、稼働を続けています。

 

ビットコインのブロックチェーンシステムは、歴史的に見れば、従来のハッシュ値を連続させる証明方法に加え、分散型であること、ネットワーク参加者のよる検証・承認システム(PoW)がセットになったものと簡易的に解釈できます。

 

またビットコインのブロックチェーンシステムでは、上記の仕組みを長きにわたって維持するために、ネットワークの参加者(開発者、マイナー、利用者)が、それぞれの立場でネットワークに参加するインセンティブを与える綿密な仕組み(マイニング報酬、トランザクション手数料など)が組み込まれています。

 

ブロックチェーン技術の可能性

ブロックチェーン技術の応用や普及はまだ始まったばかりですが、さまざまな分野で活用が期待されています。

 

オンラインでの安全な価値交換媒体

いわゆる仮想通貨のことです。

ご存知の通り、ビットコインが誕生する以前から、電子マネーや企業ポイントのような形でオンライン上の決済通貨は存在していました。

しかし、電子マネーの価値は、あくまで日本円を電子的表示に切り替えただけにすぎず、電子データ自体が価値を持っているわけではありません。また、企業ポイントについては、発行する企業がその交換価値を保証しているため、発行企業が破綻すればその価値は原則消滅してしまいます。トラストレスでは無いのです。

 

一方で、仮想通貨では、ブロックチェーンシステムそのものによって正確性が担保されているため、電子データそれ自体が価値を持っています。

 

このような性質によって、現実の価値をオンライン上により安全に移せるようになりました。今後、仮想通貨を介したオンライン上での価値交換は、より盛んになっていくと予想されています。

 

スマートコントラクト(自動執行型契約プログラム)

ビットコインの場合、ブロックチェーンに取引内容を記録します。同じように、契約内容と履行内容(プログラム)、契約締結の事実をセットにして記録できるブロックチェーンも存在します。イーサリアム、NEMなどですね。

このようなブロックチェーンを活用することで、契約とその履行を効率的かつ自動的に行うシステムを構築できます。(スマートコントラクトと呼びます)これにより、従来は、書類の準備や契約手続き、事実確認、契約内容の履行など、人間の頭と手で行っていた「契約と履行」に関するすべてを、プログラムに任せることができるようになり、大いに効率化が図れます。

さらに、その手続きの一部始終はブロックチェーン上に記録されるため、後から契約内容を勝手に変更したり、一方的になかったことにしたりといった不正行為は、当事者はおろか第三者の誰にも不可能となり、より安全に取引を遂行することができます。

こうした技術は、手続き要件の比較的厳しい市場、とくに金融や保険といった業界の業務と親和性が高く、活用が進められています。(例:フィンテック、レグテックなど)

参考記事:

イーサリアムのブロックチェーンを実利用したAXA社の飛行機保険fizzy

ウォルマートとブリティッシュ航空のブロックチェーン応用事例

 

トラストレスな公証サービス

自分がどこの国で生まれ、どこに住み、どんな仕事をしているかといった個人に関する情報は、国家(行政)がその権威を以って、第三者に対して客観的に証明(公証)が可能になります。

 

これは、記録の絶対的な正しさを担保することにおいて、最終的な責任を国家が肩代わりしていることに他なりません。つまり、今まではそれ以外に情報の正しさを絶対的に保証する手段がなかったのです。

 

しかし、ブロックチェーン技術の登場により、特定の第三者の権威を用いることなく、情報の正しさを証明できるようになりました。こうなると、国家と人との関係性はこれまでのように絶対的なものではなくなり、どこに属さずとも自分が自分であることの主張が可能になります。つまり、ブロックチェーンが公証人の役割を果たせるのです。

 

ブロックチェーンが個人の存在を証明し、結婚・出産を証明し、土地の登記を記録・証明するとなったとき、ブロックチェーンは単なる証明のためのプラットフォームから離れ、管理者不在の国家としての性格を帯び始めるのでは無いでしょうか。もし、(現実的には難しいとしても)社会保障制度や教育システムを、スマートコントラクトを用いてトラストレスな形で実装できた場合、果たして私たちは、オンライン上のバーチャルな国家と、現実の領土を持つ従来型の国家を区別して考えることができるでしょうか。

 

政府不在の国家は、ブロックチェーンが実現しうる、トラストレスの究極の形かもしれません。

 

ブロックチェーン活用に関する実例

ブロックチェーンを活用したプロジェクトの具体的な例をいくつか掲載します。

エストニアの電子政府化とe-Residency

エストニア共和国 e-Residency

https://e-resident.gov.ee/

バルト三国の一つ”エストニア”では、世界に先駆けて政府の電子化が進んでいる珍しい国家です。

国民の住民サービスや行政手続きの98%がオンラインで完了できるようになっているばかりか、会社の設立といったビジネスの立ち上げもほとんどがオンライン上で完結します。

さらに、エストニア政府は、国内に居住していない人でもエストニアに住民登録が可能なシステム“e-Residency”を、2015年4月にローンチしました。現在世界で数万人がオンライン上でエストニアに住民登録をしており、日本でも約300人程度が手続きを完了しているようです。

このようなエストニアの電子化されたシステムは、ブロックチェーン(スマートコントラクト)を活用して構築されています。このように定型の手続きや行政による公証サービスは、ブロックチェーン技術と相性がよく、政府によるブロックチェーン活用の成功例として、世界中から注目されています。

 

オンライン上にバーチャル国家を創るプロジェクト ”Bitnation”

オンライン上にバーチャル国家を創るという思想のもと立ち上がった、イーサリアムベースのプロジェクトが存在します。

Bitnation

https://bitnation.co/

ブロックチェーンによる個人IDや結婚などの公証サービスからスタートして、2015年には、シリア難民支援において個人IDを発行するなどの実績があり、ユネスコによって表彰されています。

 

現在は、誰でも自由にバーチャル国家を創ることができる”Pangea”プラットフォームを公開しており、世界中の誰もが自由に世界市民として登録できるなど、トラストレスなバーチャル国家の実現に向けて進化を続けています。と、登録してみようかな・・・。

 

XRP “Ledger”によるリアルタイムな国際送金

XRPの事例をブロックチェーンの1つに入れるかどうかは迷いましたが、Ripple社のCTOが過去に「XRP Ledgerは広義な意味でのブロックチェーンである*」と発言していることや、日本ではリップルファンの方も多い事から、ご紹介します。

*https://btcnews.jp/3mmfd4a411398/

 

日本の47銀行とコンソーシアム、リップルの狙い

https://forbesjapan.com/articles/detail/15907

 

国際送金の仕組みは、長い間「SWIFT」という世界的な決済機関が構築するシステムに頼らざるを得ませんでした。しかし、複数の銀行を仲介するために手続きが煩雑で、処理に長い時間がかかったり、複数の外貨を常に備蓄しておく必要があったりと、お世辞にも効率的とは言えませんでした。

一方で、米国のRipple社は、仮想通貨の”XRP(リップル)”を発行するプラットフォームである”XRP Ledger”を活用して、ほぼ数秒から数分で決済まで完了する国際送金システムを開発しました。

現在、Ripple社のシステムを使った国際送金実験が、複数の国々の金融機関(銀行含む)で実施されており、今まで聖域とされた国際送金のフィールドを大きく塗り替えるものと期待されています。

(一部の国際送金業者ではすでに実利用が始まっているようです)

 

●参考文献

ブロックチェーン・プログラミング 仮想通貨入門 (KS情報科学専門書)

できるビットコイン入門 話題の仮想通貨の仕組みから使い方までよく分かる本

個人投資家のためのFinTechプログラミング

 

WEB3.0

最後に、にわかに話題のWEB3.0についてです。ブロックチェーン技術を背景とし、あらゆるサービスが、管理者不在(または弱まる)トラストレスな仕組みに移行する事が想定されています。これにより、スキルのある個人がますます活躍する未来が期待されます。

AppleやFacebookなどの巨人が、このムーブメントに焦りを感じている、という趣旨の記事「Why the net giants are worried about the Web 3.0」から一部引用です。

The birth of blockchain spawned a movement which is set to disrupt the entire tech industry. Blockchain and crypto enthusiasts are calling it the Web 3.0 and it’s looking to make all traditional business models defunct. This is because, in short, the technology will facilitate the decentralization of the World Wide Web, thereby equalizing control and ownership back from the grasp of profit hungry corporations.

ブロックチェーンの誕生は、テック産業全体を揺るがす流れを生み出した。ブロックチェーンや暗号通貨に熱狂している人々は、それらこそがWeb3.0であると呼び、それらによって従来のビジネスモデルがことごとく機能しなくなっている。これはつまり、テクノロジーがWorld Wide Webの分散化を容易し、利益に対して貪欲な巨人企業から、コントロールと所有権を個人へ返しているということである。

Why the net giants are worried about the Web 3.0

 

どうですかね。言うほど返ってきていない気もしますし、これからの話のようにも思います。例えばSNSサービスでは、下記のようなプラットフォーム自体の世代交代が示唆されています。WEB3.0時代のDecentralizedされたSNSサービス(例えばSteemitやyours、画像には含まれていないですが、日本のALISなど)では、個人情報やコンテンツの権利は各ユーザーに委ねられるため、国家や企業による検閲や差し止めを防げることが期待できます。

 

引用元の記事で最も驚いたのは、DApps生態系の急速な広がりです。

 

DApps(非中央集権/分散型アプリケーション)

以下、再度引用します。

The Web 3.0 ecosystem already consists of over 3000 variegated crypto coins and over 900 decentralized apps or DApps (a single DApp can mean a team of up to 50 members, each dedicated to disrupting a specific industry). And even though the industry is still in its infancy, the market cap has already exceeded 800 billion.

Web3.0のエコシステムは、既に3000以上のコインと900以上の分散化アプリが入り乱れている。この産業はまだ生まれたばかりであるにもかかわらず、時価総額はすでに8000億ドルを越えている。

Why the net giants are worried about the Web 3.0

 

DAppsに関しては、今年最もホットな分野の1つです。Ethreum上で動くゲームが、最近ではたくさんローンチされています。イケダハヤトさんがめちゃくちゃ詳しいですね。

関連記事:[Weekly Dapps vol.1] ブロックチェーンゲーム続々。日本発DEXも登場。

 

WEB3.0時代の到来

今後、あらゆるトークンやサービスがブロックチェーンにつなぎ込まれることが考えられます。それらのうち、競争力があり、ユーザーに支持されるものが生き残って行きます。

 

プロパガンダマシンの燃料(GAS)として使われる個人データ」で紹介したケンブリッジ・アナリティカ社とFacebookの個人情報不正利用スキャンダルは、WEB3.0の到来を勢いづかせる事件のようにも思います。

一方で、Facebookに長年慣れたユーザーがすぐに移住するかと言うと、自分も含めてそんなに簡単な事では無いとも考えています。

いずれにしろこの波を捉え、生き残っていこうと思います。

畠山 智彰

大変勉強になりました!今後も期待してます。私も仮想通貨住人です。今いろいろ勉強しています。

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くりぷと

どうもありがとうございます。学ぶことがたくさんあって、全くついていけていません(笑)楽しみつつ頑張りましょう。

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