組織の不条理 – 日本軍の失敗に学ぶ

今年読んだ本の中で一番面白いものがあるので、ご紹介です。「組織の不条理 – 日本軍の失敗に学ぶ」です。

第2次世界大戦中に、旧日本軍が様々な失敗を重ねて敗戦に至ったのは史実の通りですが、今までの研究では、日本軍やその上層部が「合理的に物事を考えられなかった」「精神論に頼みすぎた」といった理由付けが主流でした。

(昔のベストセラー「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」でも同様の論旨で、各地域の戦闘の意思決定過程が詳述されています)

 

組織の不条理 – 日本軍の失敗に学ぶ」では、「人間は完全に合理的ではなく、限定合理的である」という前提に立ち、不条理な事例として有名な「ガダルカナル戦」や「インパール戦」を分析し、さらに面白いことに不条理ではない事例として「ジャワ軍政」「硫黄島戦」「沖縄戦」を取り上げます。

インパール戦は、険しい山道や激しい雨で部隊の移動に支障を来たし、また補給に失敗して多くの将兵が食糧不足で亡くなる、という悲惨な過程を踏んだ戦線でしたが、作戦開始前からそうなることは、ある程度分かっていた作戦でもありました。

なぜそのように不条理な作戦計画が実行されてしまったのか」という問いに対して、本書では「限定合理的に意思決定が下されたから」と解きます(私の解釈では)。

 

旧日本軍を題材にした組織論関係の本は面白く、現在の企業や政府の意思決定の過程を説明するのにも、十分役に立ちます。人間の本質は短期間では変わらないですからね。

本書では下記のtweetの通り、最近の大企業や東京オリンピックの事例も、題材として追加収録されています(初版は2,000年)

 

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